お店のBGMでCDを使うと違法になる?
2019年5月、BGMの無許諾利用により著作権侵害行為を繰り返していたとして、福岡市の飲食店経営者に対しJASRAC(日本音楽著作権協会)が著作権侵害行為の差止めと損害賠償の支払いを求めて提起。同年11月、福岡地方裁判所は著作権使用料を支払わずに店内でBGMを流したとして、店側に対し約40万円の支払いを命じました。
このようにJASRACは、2015年から全国で一斉に法的措置を開始しています。
音楽はお店の雰囲気づくりにとって非常に重要な役割をしめるもの。ですが、お店で流す音楽の著作権については意識していない方が多いかもしれません。
何が違法になるの?自分で購入したCDを勝手にお店でかけるのは、著作権的にはNG!
お店でBGMを流すことになったときに、CD、ダウンロード音源、定額制音楽配信サービス、動画共有サービス、業務用BGMサービスといった様々な方法を思い浮かべるのではないでしょうか。
この中で著作権の面で適正なのは、JASRACと契約を締結している音源提供事業者が提供する業務用BGMサービスのみ。
自分で購入したCDを勝手にお店で流す、ダウンロードしたものをお店で流すというのは著作権侵害にあたり違法なのです。
音楽の著作権はその曲の作詞家や作曲家、またはその著作者から著作権を譲り受けた人に属します。そして、その著作権の権利の中には「その曲を公衆に聴かせることを目的として演奏する」という権利、所謂「演奏権」も含まれています。「演奏権」というとライブやコンサートでの行為を思い浮かべがちですが、実は「CDをかけて公衆に聴かせる」という行為もこの「演奏権」に含まれるのです。そのため、自分で購入したCDを流すと「演奏権」の侵害が問題になります。
<これらは著作権侵害にあたります>
・購入した音楽CDを無断、無許可でお店のBGMとして利用してしまうこと。
・動画共有サービス、定額制音楽配信サービスなどの音楽を無断、無許可でお店のBGMとして利用してしまうこと。
・ダウンロード購入した音楽を、無断、無許可でお店のBGMとして利用してしまうこと。
もし、無許可でCD、定額制音楽配信サービスや動画共有サービスをお店で流すとどうなるの?
無許諾による著作権侵害が認められた場合、
10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられます。
お店でCDをかけるなら、JASRACでの手続きが必要
では、お店ではCDはかけられないのかといえば、そんなことはありません。
大半の楽曲の音楽著作権は、JASRACが管理しています。そのため、お店でCDをかけてBGMとして使用したいのであればJASRACに著作権使用料の支払いをすれば可能です。
なお、支払うべき使用料は店舗面積によって違いがあります。例えば、店舗面積が500平方キロメートルまでのお店であれば年額使用料は6,000円となっています。
<BGM年額使用料>※JASRAC使用料規程からの抜粋 2024年11月1日時点
JASRACへの手続きが不要になるケースも
1.テレビやラジオの放送をそのまま流している
2.従業員しかいない事務所内や、福祉・医療施設、教育機関など、当面の間使用料免除となる利用
3.他の利用許諾により、BGM の手続きが不要となる利用
(例:JASRACと契約を締結している音楽提供事業者が提供する業務用BGMサービスをご利用の場合)
4.著作権フリー楽曲のみの利用
著作権の仕組みは、音楽文化を衰退させないためのもの
ところで、なぜこのような著作権が存在するのでしょうか。その理由は、一言でいえば「音楽文化を衰退させないため」。利用者が支払った著作権使用料はその曲の著作権を持つ作詞家や作曲家に分配され、音楽家にとっての重要な収入源となっているのです。つまり、著作権の使用料のシステムは新たな素晴らしい音楽を生み出すために、きちんとその報酬を届かせるための仕組みともいえるのです。
JASRACが起こした民事調停に関するニュースが流れた際には、「お金を取るの?!」「なんで?」などという批判や反対の意見も多くあがりました。
ですが、音楽家に今後も素晴らしい音楽を生み出してもらい、それを享受するためにはこのような仕組みの存在は必要不可欠だといえるでしょう。
第一興商のBGMサービスは、便利で著作権問題がクリアで安心
第一興商のBGMサービスは、お店に代わってBGMの著作権使用料をJASRACに支払うことについて合意しています。自分自身で手続きをする手間がかからないのでとても便利です。